渓流ソロキャンプ 宮城県川崎町某所 20140506

 

2014年05月07日 14:15

2014年5月6日 宮城県川崎町某所


私の連休の残りは2日ある。
しかしゴールデンウィークだ。どこに行っても人だらけだ。
キャンプ場に行こうものなら、ファミリーキャンパーだらけで、一人でキャンプをして周りの目に耐えられそうにない。
人の居ない場所に行くしかない。
そうだ。4月5日4月12日にチャレンジして駄目だった、あの一番奥の砂防ダムを目指そう。

この時持っていった物
服装


種別

内容



服装(遡行)
ニット帽、Tシャツ、ネオプレンタイツ、ネオプレンソックス、渓流シューズ


服装(キャンプ)
ニット帽、モンベルクリマエアジャケット、ブレスサーモウールヘビーウェイトアンダーウェア上下、パタゴニアの防寒着、裏地がフリースのパンツ、スニーカ


ザック内(グレゴリー バルトロ65)


種別

内容



テント
アライテント エアライズ1、グラウンドシート


マット
モンベル U.L.コンフォートシステム パッド150


シュラフ
モンベル スパイラルダウンハガー #3、エアピロー、イスカ ゴアテックスシュラフカバーウルトラライト ワイド


クッカー類
コッヘル、ストーブ、ガス、シエラカップ、スポーク


食料
鍋材料(刻んだ野菜や肉をジップロックに)、鍋キューブ、アルファ米1個、サトウのごはん1個、スープ、お茶、ビール500ml3本、ウイスキー入りスキットル、水2L(プラティパス)、いろはす(水)


雨具
ザ・ノースフェイス レインテックス FLIGHT M



ダウンジャケット、ダウンパンツ、パタゴニアマウンテンパーカモンベルクリマエアジャケットブレスサーモウールヘビーウェイトアンダーウェア上下、スニーカ、防寒パンツ


その他
ラジオ、熊よけ鈴、ナイフ、コンパクトデジカメ、ヘッドライト、ミニLEDランタン2個、トレッキングポール、てんから竿、仕掛け一式


5月に入り、仙台では毎日20℃を越えるようになった。
今回も目的地の川崎町の里山も、大きくは変わらない筈だ。そして今回はド晴天で、日差しが結構きつい。移動時の上半身はTシャツにする事にした。
移動時の服装をTシャツにしたのに伴って、キャンプの際の防寒具をザックに詰め、背負って持っていかねばならなくなった。マウンテンパーカ、フリース、アンダーウェア上下である。キャンプ時に寒い思いをしたくないが為のものだが、これの所為でザックはパンパンである。それに加えて、困り者のスニーカもザックに入っている。
季節の端境とは言っても、早く荷物を減らしたいものだ。
そして水だ。前回まで、プラティパスのビッグジップSLというハイドレーションシステムを使用していたが、これを止め、いろはすに変更した。こまめに水分補給が出来るので最高に素晴らしいのだが、2日分の水を担いでいくというのは、どうも冗長なのだ。ペコペコのいろはすのペットボトルを持って行き、無くなったらプラティパス2から補充すればいいのだ。
勿論、ビッグジップSLでも同じ事は出来るのだが、これはザックの奥に水筒が格納されるので、取り出すのが厄介なのだ。
ザックのバルトロ65には、水筒ホルダーが付いているので、作戦観点としても悪くはないだろう。


現地に向かうべく林道を進むと、車がスタックしており、おじいちゃんとおばあちゃんが困った顔をしていた。私は仙台男児だ。放っては置けない。助ける事にした。
おじいちゃん達は、山菜を取りに来た所、車をUターンしようとしたら曲がる位置が悪く、沿道に乗り上げる形になってしまったのだという。その沿道に突っかかった状態の上、車の片輪が丁度轍の上にある為、スタック状態となってしまっていた。
おばあちゃんがしきりに、ごめんねというので、何とかしなければならない。
前後が土にめり込む形になっているので、それをスコップで少し取り除いてみた。
おじいちゃんが試みるも駄目だったので、私がハンドルを握らせてもらった。ハンドルを目いっぱい切ってみてバックしてみた所、車が後ろに進んだ。次に、少し勢いをつけて前に曲がると、脱出出来た。
おじいちゃんとおばあちゃんの安堵した表情がとても良かった。
人助けをしたのだ。今日はいい事があるかも知れない。

余談だが、この先で何をするのと問われ、キャンプですと答えたら、一人でキャンプとは寂しいね、と言われた。
普通の人から見たらそうなのだ。
ソロキャンプしていると、あまり人に言わない方がいいのかも知れない。

さて、車を止めて、いつもの様にパンツ一丁になって下半身を装備し直し、ザックを背負い、いざ進もう。
1ヶ月前に比べると、随分と緑色の風景になった。
今はいいが、夏になって鬱蒼と草や葉が覆うようになったら、こうやってキャンプしようとするのは難しくなるのだろうか。夏に向かって、キャンプのシーズンとなり、キャンプ場にも行きにくくなる。これは私が他の人の目を気にするからであろうけれど。今後どうやってキャンプして遊ぼうか、等と考えながら歩いた。


前々回キャンプした場所を横目に進む。
ここは砂利で平坦だからキャンプしやすかった。ただ、夏場のスコールのような夕立が来たら増水して非常に危険だと思う。


ここは前々回、増水で横断を諦めた場所だ。
どうやら増水も落ち着いてきたようだ。増水が落ち着いて来たという事は、渓流釣りのシーズンインという事か。
しかし、蔵王連峰はまだ雪化粧のままである。まだ当分、雪解け水は続くのだろう。


心細い橋を超え、倒木ポイントを迂回して進む。
前回は全く来た事のない場所だった為、緊張しながら進んだが、今回は2回目という事もあってグイグイ進めた。



ここだ。
前回、雪が迫り出していて、更にその下が空洞状になっており、危険を感じて進むを断念した場所だ。
何と雪がまだ残っている。
これは・・・雪があった場所の下が崩れたようになっている。前回、雪の上を歩いて無理をして渡っていたら雪が崩れて、崖下に落ちていたかも知れない。断念した判断は正しかったのだ。



さて、この先を少し進むと最終目的地が見えてくる筈だ。
見えた!一番奥の砂防ダムだ!
コイツを目指して3回もチャレンジして、ようやく辿りついたのだ。3度目の正直とは良く言ったものだ。
ん?人影が見える。
釣り人が砂防ダムの下で釣りをしている!
私が3回目にしてようよう辿りついた場所で、釣り人が釣りをしているのである。何とも喜び半減だ。
釣り人に、こんにちは、釣れますか、と話しかける。
釣り人は、先行者が居たので自分は2番目で、先行者は大きなのを釣って持ち帰ったようだよ、という事だった。
私は3番目という事か。
自己擁護するならば、前々回は増水に阻まれ、前回は雪に阻まれたのだから、人に負けたのではなく、自然に負けたのだ。ふん!
キャンプをしてはトラブルばかり、目的地を目指して3回チャレンジして歩いても今日だけで3番手である。私は一体何なのであろうか。まぁ、これも私らしくていいのではないだろうか。


それはそうと、これを目指してきたのだ。
別に砂防ダムマニアでも何でもないが、3回目にして辿り着けたのだから感慨もひとしおである。
私は目的を達成したのだ。
それにしてもデカイ。一番奥にして、一番デカイ。
この奥へ、これまで辿ってきた道を使って資材を運んで、これを作ったのだ。
良く見ると、所々ボロボロである。出来てどのくらいなのだろう。竣工の年月日を示すものがあるか探したが、見つからなかった。




よし、キャンプだ。ソロキャンプだ。
運がいいのか、この砂防ダムの上に、テントを張れそうなスペースが見つかった。
ザックを下ろすと、ほっとする。やはり重かった。防寒具類とスニーカをどうにかしないと荷物は減らない。


テントを張る前に、目の前の渓流でビールを冷やそう。
流れていかないように、石で固定する。
ああ、私の体は今、水分を欲している。これを我慢して、キャンプの準備をしてからビールを飲むのだ。


テントの設営は随分慣れた。
手早くやれば5分程度で終わる。
この手早くやれば短時間で済むのも山岳テントの利点だ。


そして焚き火の準備だ。
一人用の小さな竈を作り、薪拾いをする。
やはり渓流沿いは流木が多くて薪拾いが楽だし、何より乾いていて燃えやすい良質の薪なのだ。



いつもの様に、ガムテープを着火剤に使用して焚き火に火を付ける。
それにしても流木は良く燃える。


これでビールが飲める。
乾杯前の儀式、山の神様、川の神様、竈の神様に少しビールをおすそ分けする。
乾杯!ングングング・・・美味い!
川の水で冷やすというのは、何とも清涼感があって良い。しかもこのまま飲めそうな位に綺麗な水だ。ナントカの天然水とか言うのよりも、こっちの水の方が綺麗なのではないだろうか。


今日のキャンプはこの様な場所に陣取った。


ビールでひと心地ついたし、夕食でも食べよう。
ジップロックに刻んだ野菜や肉を入れて持ってきた。これを鍋にする。味付けは鍋キューブだ。
これは以前やって、結構美味かったのだ。




それにしても、日が長くなった。
鍋を食べ、ビール1本を空け、ほろ酔い状態である。周辺に山菜がないか、少し散歩をしよう。



































































































く、熊だ。
この木は、テントを張った場所から20mと離れていない。
この爪あとはそんなに時間が経ったものではない。剥いだ後が生々しい。どうみてもここ1週間から数日といった所だ。


戦慄した。血の気が引いた。動悸が激しくなり、頭が混乱した。
正直言うと、ナメていた。川崎町の里山なんかで熊なんか居ないと思っていた。
この場所に来るまで、熊の痕跡がないかずっと見てきて、何も無かったから安心し切っていた。
この場所に到着しても、周囲に熊棚がないかも確認したのだ。熊棚も無かったのだ。



これは熊剥ぎというものだという。
この動画の熊の力、恐ろしい。
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/research/results/20130917.html


もう酒も飲んでしまったし、もう6時だ。どう考えても帰る事は出来ない。
ラジオをガンガンに鳴らし、焚き火をこれでもかと燃やし、ここに泊まるしかない。
もしここで熊に襲われでもすれば、今日の様なこんな所まで来る奇特な釣り人が来ない限り、発見しては貰えないのだ。
本当に怖い。


焚き火の前に戻り、ラジオをガンガンに鳴らす。
時々、熊鈴もチリーンと鳴らす。
頭の中には熊しか居なかった。
いつの間にかラジオがブーーーンという低い音しかしなくなった。
げぇーーーっ!!電池が切れている!!
何でこの時に限って電池が切れるのだ。
人助けして、いい事があるのではなかったのか。
こんな不安な夜をどうして越せばよいのか。
テントに入ってはみたものの、外を熊がうろつく妄想が頭を悩ませる。
今は、突撃!お前が晩御飯!が全く笑えない。
熊は夜には行動しない。早朝と夕方だと解っている。それでも怖いのだ。
シュラフを頭からかぶり、じっとしていたらいつの間にか寝ていた。


朝5時に目が覚めた。
のんびりはして居たくない。
熊の行動時間だろうとも帰りたいのだ。
マッハで撤収し、急いで戻った。


5月6日~7日学んだ事:
   ・人を助けてもいい事があるとは限らない
   ・熊の痕跡が突然出ることもある


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