雪山歩き 蔵王連峰 不忘山 20150114

 

2015年01月15日 12:12

三度目の不忘山に挑戦してきた。
絶好の好天気だ。天気に阻まれ山頂に立てない事が続いていたが、今日ばかりは大丈夫だろう。


この時持っていった物
服装


種別

内容



ベース
ブレスサーモヘビーウェイトウール上下


ミドル
モンベル シャミースジャケット(すぐ脱いだ)、トレッキングパンツ


アウター
モンベル ストリームジャケット、モンベル アルパインパンツ


手足
モンベル トレールアクショングローブ(インナー)、ブラックダイヤモンド アーク、スカルパ モンブランGTX、モンベル アルパインスパッツ



その他
ビーニー(ニット帽)、ネックゲイター(すぐ脱いだ)、サングラス


ザック内(グレゴリー アルピニスト35)


種別

内容




ダウンジャケット、ダウンパンツ、フリース、バラクラバ


クッカー類
スノーピーク トレック900、イワタニプリムス P-153、250OD缶


食料
菓子パン、フルーツグラノーラ、チョコクッキー、THERMOS 山専ボトル


雨具
ザ・ノースフェイス レインテックス FLIGHT


冬装備
ブラックダイヤモンド レイヴンプロ、ブラックダイヤモンド セラックプロ、MSR ライトニングアッセント25

予備
モンベル トレールアクショングローブ、ブラックダイヤモンド ソロイスト、靴下


地図
GARMIN eTrex30(GPS)、地図(ジップロック入り)、コンパス


非常用
アライテント スーパーライトツェルト2、張り網


その他
ナイフ、ヘッドライト、タオル、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、コンパクトデジカメ、トレッキングポール(スノーバスケット装着)


とにかく行動中は暑かった。
グローブはブラックダイヤモンドのソロイストでスタートしたが、10分も歩かない内に暑くてアークと交換した。
ミドルのフリースも、極薄のモンベルのシャミースジャケットだったが、これも暑くてすぐ脱いだ。結局、ベースとアウターの2枚でずっと行動する事となった。
気温はマイナスでも太陽の光があるだけで、これだけの体感温度の差がある事に驚いた。


冬に山を歩くようになって変わったのは、気圧配置図を気にするようになった事だ。といっても、西高東低の冬型か、列島が高気圧の中にあるか、等圧線の間隔はどうか、という中学生レベルのものであるけれど、それで風も判断出来るし、天気の変化も少し解るような気がするので、私にしてみれば大きな進歩だ。
そして、1月14日は絶好の天気だった。晴れも晴れのド晴天で、東北は高気圧の中、降水確率も0%、風も殆ど無さそうだ。これまで天気に阻まれてきただけあって、嬉しい好天だ。
家を出発し、車から目的地に顔を向けると、真っ青な中に蔵王連峰がズンと構えていた。思わずオォッと声が出た。今日は本当に良い山になりそうだ。


いつもの通り、白石スキー場のセンターハウスで入山届けを記入していると、受付のおねえさんが私の事を覚えてくれているようで、前回は酷かったので今回は本当に良い天気で良かったですね、と声をかけてくれた。いつも一人で登られているのですか、と聞かれたので、はいと答える。
今回は北側のリフトではなく、南側のリフトから2本乗り継いで歩く事にした。ルートは前回と前々回と異なるが、最終的には東尾根に出て、不忘山山頂を目指す事になる。
ただ、1本目のリフトの降り口から、2本目のリフトの乗り口までが少し遠かった。


2本目のリフトから降りて歩き始めると、体の色々な箇所が暑い。グローブ、上半身、首。グローブは薄いものに替え、上半身はフリースを脱ぎ、首のネックゲイターは外した。そして、アウターのベンチレーションも全開にした。


天気が良いというのは本当に素晴らしい。気分が晴れやかになるし、不安も吹っ飛ぶ。
何よりも目的地を遠方に見据えながら歩けるという安心感は大きい。冬は道がある訳ではないので、自分の現在地や進む方向が合っているかが大事になるが、天気が良いとそれを間違う事が無い。


途中、大きく傾いて育った松を見かけた。不忘の盆栽松と名付けよう。


時間はたっぷりある。休憩も適度に挟んだ。冬山は甘い物が美味い。我が家の猫は、甘いパンが好きなので、一口分残しておく事にした。


東尾根を伝って登ろうと思ったのだが、いつの間にか急な東尾根の側面を直登していた。
この急坂がかなりキツかった。スノーシューのヒールリフターを上げて登るのだが、それ以上の斜度なので、全然楽じゃない。先は長いし、斜度がキツくて戻るに戻られない。ただ、雪は締まっているので、スノーシューの歯が良く噛んでくれて、落ちそうになるという事はなかった。
しかし振り返ると恐ろしい。


ゼイゼイと息を切らしながら、ようやく尾根へと辿りついた。頂上へ近づいたという喜びよりも、尾根側面の急登から解放された喜びの方が勝った。
尾根に出ると、一気に視界が開けて、左には海や吾妻連峰や安達太良山と思われる山、右には山脈然としている南屏風岳から屏風岳の稜線とその白い壁面が見れた。


この尾根をしばらく進むと、木の枝が地面から張り出している箇所があったり、足元の幅が狭くなってきた。スノーシューで歩くには適さないと感じた。
木の枝に引っ掛けて転んだら一大事だし、幅の広いスノーシューで足を置く場所を捜しながら、そろそろと進むのも危険だった。雪も硬く硬く締まっているし、尾根の両側面は切り立っているので、アイゼンとピッケルに切り替えた方がいいと判断した。
スノーシューとポールは、ここにデポしていく事にした。


アイゼンとピッケル。
何が一番問題かと言うと、扱いに慣れていない点だ。講習会で初歩は習ったが、実践が伴っていないので、まだまだ不慣れなのだ。
それでも、スノーシューとポールの組み合わせから、アイゼンとピッケルに変えてから、歩行が非常に安定した。アイゼンの刃は雪面を噛み、ピッケルのスパイクは硬くなった雪に刺さり、アンカーとして安心感を与えてくれた。


頂上直下の急登はキツかったが、アイゼンとピッケルを使いながらの登りはスリリングながらも本当に楽しかった。細尾根の急登にアイゼンを蹴り、ピッケルを刺す、それを繰り返しながら少しずつ進んだ。


頂上だ。3回目にしてようやく辿り着いた。風もさほどではない。
360°の大パノラマだ。遠くの方に白く輝く山々が見える。海まで見渡せる澄み切った空気。何もかもが最高だった。



頂上から奥に少し進むと、蔵王権現の祠がある。
私が不忘山にこだわっていたのには、これに少し理由がある。秋にここに登った時、母が入院する事になってしまい、その無事をお願いした経緯があったからだ。無事だったそのお礼の為に、ここに来る必要があったのだ。本当は2014年内に来たかったが、こうした好天の日にお参り出来たので良いだろう。


そして、可能ならば南屏風岳に行きたいと考えていた。南屏風岳へ向かう稜線へ向かってみた。
駄目だ。不忘山から南屏風岳に下りる岩と雪の急下降にビビってしまった。ここは、秋に歩いた時ですら、両側が細く切れている中を岩登りしなければならず、ヒヤヒヤしながら登ったのだ。どう考えてもこの先に進むには、私の技術が伴っていない。今回は諦めよう。


南屏風岳へ向かう縦走路からは、南屏風岳と屏風岳の非常に美しい壁が望める。これが東北の日本海側と太平洋側を隔てているのだ。
この斜面をスキーで下降する人もいるようだが、この角度を下るのかと思うと、全く想像が出来ない。凄い人達だ。


不忘山頂上へ戻り、景色をもう一度楽しむ。この頃から少し風が強まりだした。ほぼ無風の中を登れた私は、本当に運が良かった。
山頂から降りて進む。進もうとするも、アイゼンとピッケルで登ったこの急登をどう下降していくべきか、降りながら怖さを感じた。登りよりも下りの方が怖い。
ピッケルで尻の辺りにアンカーを取りながら前向きで下降したが、この角度だったら後ろ向きの方が良かったかもしれない。
それにしても、本当に経験の足りなさを感じる。
ほっとした所で、不忘の碑と、その直ぐ近くにあるカエル石に挨拶した。



スノーシューのデポ場所まで戻ってきた。今回は冬装備フル活用だった。
雪が締まっているので、この先もアイゼンで進めそうだし、装備を切り替えるのも面倒なので、このまま進む事にした。もし、進む雪がズボズボになっても、ラッセルの訓練だと思おう。


何と言うか、下りはしんどかった。喉が渇いて仕方が無かった。センターハウスまで我慢しようかとも思ったが、水分不足で疲労が大きかったので、岩の上に腰掛けて休憩した。
何故水を我慢していたかというと、持っている飲み物はテルモスに入った熱湯なのだ。暑いので、これをあまり飲みたくなかったのだ。
それでも喉が渇いてどうしようもなかったので、湯を啜った。
ええい!途中から面倒になったので、お湯の入ったテルモスのキャップに雪をぶち込んで冷まし、ゴクゴク飲んだ。このやっつけ方が私らしい。
それにしても、今回の山は本当に楽しかった。
不忘山は、スノーシューでの雪面歩きも楽しめるし、雪の状態次第でアイゼンとピッケルも使う。私の様な初心者のステップアップ用には良い山だと思う。また来たい。


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