ソロキャンプ とことん山キャンプ場 20140601

 

2014年06月02日 16:37

2014年6月1日 秋田県湯沢市とことん山キャンプ場


連休が取れなかったり、プライベートの用事などの理由で、1ヶ月近くキャンプに行く事が出来なかった。
だいぶフラストレーションも溜まっていたので、キャンプに出掛ける事にした。

この時持っていった物
服装


種別

内容



服装
半袖シャツ、Tシャツ、ジーンズ、スニーカ


服装(持参)
モンベルクリマエアジャケット


ザック内(グレゴリー バルトロ65)


種別

内容



テント
アライテント エアライズ1、グラウンドシート


マット
モンベル U.L.コンフォートシステム パッド150


シュラフ
モンベル スパイラルダウンハガー #3、エアピロー、イスカ ゴアテックスシュラフカバーウルトラライト ワイド


クッカー類
スノーピーク トレック900、イワタニプリムス P-153、250OD缶、シエラカップ、スポーク


食料
ザックには入れず


雨具
ザ・ノースフェイス レインテックス FLIGHT M


イス
エーライト メイフライチェア



ザックには入れず


その他
ラジオ、ナイフ、ヘッドライト、LEDランタン


ザック外の道具(使用したもののみ記載)


種別

内容



焚き火
スノーピーク 焚き火台S、耐火グローブ、火バサミ、炭


調味料
コールマン スパイスボックス


その他



5月下旬から、異常な暑さが続いている。仙台でも30℃オーバーも珍しくない。
今回キャンプした日も真夏日の予想だった。キャンプ場は山だとは言っても、気温も高く、日差しもあるだろう。
服装は夏仕様で行こう。寒かったら着ればいい。
これまで使用して来た貰い物のミニLEDランタンだが、光が弱いくせに電池の消耗が激しく、対コスト効果が全く得られていなかった。小型で光量のあるLEDランタンを探し、購入した。ジェントスのエクスプローラーEX-837NXだ。評判も上々だから、役に立ってくれるに違いない。
今回のキャンプはキャンプ場だからいいとしても、ザック一つを担いでキャンプするスタイルの場合、イスを持っていけず、お尻が痛くなる事が多かった。重さと使用感の両方が満足出来るイスを探した。何と重量635gで座り心地が抜群という、エーライトのメイフライチェアというのを見つけた。収納サイズもかなりコンパクトなので、ザック内にパッキングしてもかなり余裕だ。使うのが楽しみだ。


今回キャンプするとことん山キャンプ場は、秋田県湯沢市にある。以前は、皆瀬村という地名だったが、2005年に湯沢市と合併したと言う。
私の住む仙台市からは、急げば2時間半弱、のんびり行って3時間強といった距離だ。
何と言ってもとことん山の良さは、温泉だ。掃除の時間を除けば、24時間いつ入っても自由、入り放題なのだ。風呂場には、源泉掛け流しの温泉が3段並んでいて、作りも美しい。お湯の質も良い。
ここはオートキャンプ場ではないが、非常に人気のあるキャンプ場で、ゴールデンウィークやお盆などは超満員のようだ。


そして、とことん山は、私の特別な思い入れのあるキャンプ場だ。
何故なら、私が初めてキャンプを体験したのは、このキャンプ場だからだ。それは約20年前だ。
今、こうして大人になってキャンプを楽しんでいるのも、このとことん山でキャンプの楽しさを学んだからだ。あの時の体験が、大人になって思い出され、再びキャンプを始めるきっかけになったとも言える。

あの当時は、アウトドアブームになるちょっと前で、まだアウトドア人口も少なかった様に思う。
キャンプ道具も、今の様に洗練されたデザインの物は少なく、テントはロッジ型を使用している人が殆どだった。私の家族もご多分に漏れず、ロッジ型テントだった。
キャンプ道具と言えば、コールマンがその象徴だった。コールマンのキャンプ道具が皆のあこがれの品で、それを買おうにも非常に高く、なかなか手が出せない時代だった。例えば、コールマンのドーム型のテントは10万円弱したような記憶がある。
今でこそオシャレな道具を揃え、オシャレなアウトドア系のファッションに身をつつんでキャンプする人が殆どになったが(私は今でもイモいキャンプスタイルだけど)、当時は皆、手探りでアウトドアを楽しんでいた。
それは情報が無かったからだ。インターネットも無かったし、アウトドアの本も僅かだった。
皆、手探りで試行錯誤していたけれど、今のカタログのイメージ通りのキャンプスタイルよりも、余程生き生きしたキャンプではなかっただろうか。皆、思うがまま、自分のキャンプスタイルでキャンプしていたし、それを楽しんでいた。
これは私が大人になって、楽しかった当時を思い出すからそう思うだけだろうか。


当時の思い出を少し書きたい。

約20年前の初めてのキャンプ、あの時、私は小学5年生だった。
確か7月下旬に2泊3日でキャンプに行ったのだ。1泊目はとことん山で、2泊目は鳥海山のふもとにあるキャンプ場だった。鳥海山のキャンプ場の名前は覚えていない。
初めてのキャンプは興奮した。
1泊目のとことん山では、温泉に入りまくり、1日で10回以上入った。弟も10回以上入り、何と鼻血を出した。
夜になってバーベキューをし、お腹いっぱいになった所で、懐中電灯を片手にカブトムシやクワガタを探しに行った。カブトムシたちは光に集まる習性があるので、自動販売機の前に行くと、ミヤマクワガタなどを捕まえる事が出来た。
キャンプ場の近くには大噴湯という、超高温の源泉が噴出する観光名所があって、早朝、そこに温泉卵を作りに行った。源泉の温度は98℃なので、温泉卵にはならず、出来上がったのは、ただのゆで卵だった。それでも楽しくて美味しくて、全部食べた。
2泊目はキャンプ場の名前は覚えていないが、鳥海山のふもとにあるキャンプ場で、キャンプ場というよりも、ただの草原だった。
山を見ると鳥海山の万年雪が見えた。
この夜、私は生まれて初めて天の川を見た。天の川は形容しがたい美しさだった。当時の私は目が良くて、星々の中を動く人工衛星も、つぶさに見る事が出来た。この時以後、天の川を見る事が出来ていない。私は、この時の星空を今でも追っている。だから天体望遠鏡を購入したのだ。
当時としては珍しいビデオカメラでキャンプの様子を撮影しており、そのビデオテープが擦り切れるまで何度も何度も家族皆で見返しては、楽しかったね、と話をした。
この2泊3日は、本当に楽しかった。
その思い出があってこその、今の私のソロキャンプなのだ。


さて、とことん山だ。
国道398号線をひたすら秋田に向かうと、とことん山に到着する。非常に解りやすくていい。
到着すると、あの懐かしい、リスのマークの看板が見えてきた。初めてのキャンプ以来、何度かとことん山には来ていたが、今回こうして来るのは、本当に久しぶりなのだ。この看板を見たら、こみ上げる懐かしさを感じた。


駐車場に車を停める。
思ったよりも、人が居るようだ。知らない人が周囲にいる環境でソロキャンプするのは、一番最初の時以来だ。
他のキャンパーが少ないのを期待して、土日ではなく日月のスケジュールを組んだのだが、やはり人が居るのは仕方ないか。
受付棟にいって受付をする。この受付棟は、20年前は東屋として無料開放されていた。雨の日はこの中でオセロやトランプをした記憶がある。
このキャンプ場は利用料が非常に安い。施設は綺麗だし、素晴らしい温泉に入り放題で1人820円なのだ。破格である。
受付で受付カード(?)に記入していると、以前利用された事はありますか、と柔和そうな管理者のおとうさんに問われたので、20年前くらいですがあります、と回答すると、では案内は不要ですね、と言われた。まあ、大丈夫だろう。


20年ぶりだ。様子を見て回ろう。
確か、釣り橋があった筈だ。この東屋の横を抜けると・・・げぇーっ!!毛虫が3匹釣り下がって道を塞いでいる!!
毛虫が上の木からお尻から出した糸で垂れ下がっているのである。
私は毛虫が嫌いだ。ゴキブリも嫌いだが、それ以上に嫌いだ。何故あんなに醜く、気味が悪いのだろうか。
哺乳類でも爬虫類でも、赤ちゃんというのは大抵可愛い。しかし、昆虫の赤ちゃんは醜いのが多い。毛虫も、天敵から身を守る為に醜く、そして毒を持つなどして進化したのだろうが、もうその姿を見るだけで悪夢である。
知らずに進んで体に毛虫がくっつくのを想像するだけで、蕁麻疹が出そうだ。
釣り橋の奥に行くのは諦めよう。
それにしても、暖かくなったのだから、多少の虫が居るのはいいのだが、毛虫とは困った。毛虫が嫌いなアウトドアマンは失格だろうか。


テントを設営しよう。
人が少ないから場所を選び放題だ。
温泉に何回も入りたいので、温泉棟の近くに陣取ろう。
近くにテーブルなんかもあって、結構いい場所を確保出来た。
キャンプ場の外は真夏のような日が差しているが、ここは木漏れ日が気持ち良い。


さあ、温泉だ。
これの為にここに来た様なものだ。
子供の頃を思い出して、今回も温泉に何度入れるかチャレンジしてみよう。
久しぶりだが、温泉は変わっていなかった。
半露天のヒノキ風呂が1段目にあって、2段目3段目が露天風呂となっている。
温度は熱くも無く、ぬるくもなく、実に丁度良い塩梅だ。熱い温泉ばかり入っていたせいか、熱さに物足りなさを感じる自分がいるというのも不思議だ。
お湯に濁りは殆どなく、湯質もさらさらしていて、匂いは温泉らしい硫黄の匂いがほんのりとする。ガツンとパワーのあるお湯ではないので、何度でも入れるし、入った後も疲れたりしない。
私の温泉と言えば、やっぱりこの、とことん山の温泉なのだ。




のんびりしよう。
のんびりしたキャンプをするつもりだったので、今回は本を持って来た。本を読んでは温泉に入り、温泉に入っては本を読むのだ。
夢枕獏の神々の山嶺だ。
本のレビューをしても仕方ないので、ここではしない。
少し前に漫画版を読んで、その素晴らしさに感動し、原作小説を購入したのだ。私は結構漫画も読む方なのだが、この神々の山嶺は、私の好きな漫画の3本の指に入ると思えた程だった(実際入った)。
これは登山の小説なのだけれど、私は登山をしない。興味がないか、というとあるのだけど、きっかけがないので、していない。してみたいな、登山。


日が暮れて来たので、夕食にしよう。
今回は、焼肉と常夜鍋だ。
焼肉は岩塩プレートの上に味の付いていない肉を焼いて食べる。ほんのりとまろやかな塩味がついて美味しいのだ。
そして常夜鍋だ。学生の頃、これが好きで良く食べていた。鍋と言っても、材料は豚肉とほうれん草のみだ。鍋に酒を加えた湯を沸かし、その中に食べたい分だけの豚肉とほうれん草を入れ、頃合になったら湯から引き上げ、ポン酢につけて食べるのだ。この、鍋に入れては食べ、を繰り返すのだ。
シンプルながら、非常に美味い。一晩中食べていられる事から、常夜鍋という名前になったそうだが、本当にそれ位美味しいのだ。
しかし、私は小食なので、焼肉を食べたら、かなり満足してしまい、食べたかった筈の常夜鍋は少し食べただけとなってしまった。私のような人間は、順番など考えずに食べたいものから先に食べた方がいいようだ。




ビールを飲んでは温泉に入り、日本酒を飲んでは温泉に入った。
酒を飲んだら温泉に入らない方がいいというが、飲みながら入らないだけまだいいだろう。
それにしても贅沢な時間だ。焚き火の火を見つめながら、考え事をしたり、嫌な事を思い出したらラジオを聴いてみたりする。温泉に入りたいと思った1分後には湯船に入れる。
こんな素敵なキャンプ場、他にあるだろうか。
キャンプ場に到着してから寝るまでに6回温泉に入った。


目覚めて最初にする事は、朝風呂だ。
二日酔いになりかけの寝起きの目をこすりながら、おもむろに温泉へ向かう。
朝5時半、誰も入っていない。独り占めだ。
昨日も温泉で人と一緒になったのは1回だけだった。やはり土曜宿泊にしなくて良かった。


さて、早く目覚めたのだから探検しよう。
夏だったら、クワガタでも探しにいく所だが、まだ6月だから散歩してみよう。
キャンプ場の脇に、「動物たちの小道」という遊歩道が最近出来たようだ。
山頂まで830mか。大した事ない。朝の散歩に丁度いいのではないか。


なだらかとは言えない傾斜の道を進んでいく。
何の花だろうか、綺麗だ。植物を見ながら進んで・・・いや、登って行く。
だんだんキツくなってきた。
これは二日酔い一歩手前の人間が歩くコースじゃない。しかも、新調したスニーカで靴擦れを起こしており、かかとを踏んだ状態なのだ。
早朝とは言え、日光が結構強い。息が上がり、背中から汗が噴出す。水分補給用の水を持ってくるべきだった。

もうかなり歩いた。
たった830mだし、そろそろ目的地が見えてきてもいいのではな・・・げぇーーっ!!この坂は傾斜角度40度はあるんじゃないか?
「動物たちの小道」恐るべし。いや、こんなの小道じゃない。地獄坂と呼ぶべきだ。
よし。自分を孤高の登山家、羽生丈二(前述の神々の山嶺の主人公の一人)だと思って登ってみよう。黙々と登る。むしろこれは余計にキツい・・・ストイック過ぎて全然休めん!馬鹿か。



じわりじわりと登り、最終目的地に到着した。
ここは、とことん山に隣接しているスキー場のリフトの降り口だ。
ずっと下の方にとことん山の緑色の建物が見える。
凄い傾斜だ。高くて足がすくむ。
こんな傾斜をスキーで下っていくのか。エクストリームスポーツ会場か、ここは・・・。



さて、予想外のキツい登り下りをしたが、私にはまだやらなければならない事がある。
大噴湯に温泉卵を作りに行かねばならないのだ。あの楽しかった小学生の時のキャンプをなぞるのだ。
しかしだ。大きな問題が一つある。私は卵を持ってくるのを忘れたのだ。
志を曲げてはならぬ。
よし。世界初、エア温泉卵作りに行く事にする。
いざ行かん大噴湯へ。


大噴湯は、深い渓谷の下にあり、激しく熱い蒸気が常時噴霧している。
その蒸気の音は、キャンプ場に居てすら、夜中はゴオオと聞こえる様な気がするし、実際、何か地鳴りのような音が聞こえる。それ程、強烈なのだ。
「動物たちの小道」で消耗した体力で、この深い谷に入らなければならないのは結構キツい。頑張ろう。
深緑色の川の水にはイワナが住んでいる様で、魚影が見える。イワナは冷たい水を好む筈だが、こんな場所に居るとは、自然は不思議である。
小安峡温泉(とことん山のある温泉の事)の源泉は、98度もある。大噴湯では、その源泉が、そこかしこから流れ出ていたり、ゴボゴボと噴出している。
一番の見所は、写真の様に、激しい蒸気が噴出している場所で、ここを通ろうとすると、否が応でもこの蒸気を浴びねばならない。熱くて通れないという事はないが、蒸気で服が湿る。
子供の頃、みかんのネットのような物に卵を入れ、この湧き出ている源泉に浸して、温泉卵が出来るか実験したのだ。出来上がった温泉卵は単なるゆで卵だったが、それでも良かったのだ。
辺りに漂う硫黄臭を嗅ぎながら、あの当時のゆで卵の匂いに結び付けてみようとする。
やっぱりここも、私の思い出の中では重要な場所なのだ。


それはそうと、温泉にはトータル8回入った。
鼻血は出なかった。


6月1日~2日学んだ事:
   ・ソロキャンパーはロマンチストだ


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