グレゴリー(GREGORY)の
バルトロ65(BALTORO65)をレビューします。
グレゴリーは、ザック(バックパック)界のロールスロイスと評されるメーカーで、その品質と堅牢さ、そして価格も一流です。
同グレゴリーから出ていたトリコニ60が廃盤となり、今やバルトロ65はグレゴリーの60L級のザックの主力アイテムと言えるでしょう。
バルトロ65は、幅広いニーズに対応したザックとして設計された物のようですが、主な用途としては登山に使われます。登山をしない私の様なソロキャンパーがレビューするには、荷が勝ちすぎている様にも思いますが、まずはチャレンジしてみようと思います。
購入経緯です。
私は、
ザック一つに装備を詰め込み、目的地まで歩いて行き、自然の中でキャンプする、というスタイルでソロキャンプをしたいと常々考えていました。
しかし、肝心のザックは、渓流釣り用としてグレゴリーの
Z35という35Lの物を使用していましたが、35Lでは装備一式は入っても食料や水類を詰め込む事は出来ませんでした。
高校の頃から、グレゴリーが好きで使ってきたという、生粋のグレゴラー(?)なので、ソロキャンプに使えそうな60L級のグレゴリーのザックを求めました。
ザックや靴の様に、身に着ける物の場合、インターネットで購入するのは、リスクが非常に高いので、近くのICI石井スポーツに行き、グレゴリーの60L程度のオススメのザックが無いか、聞きました。
60Lピッタリのものだとディバ60というアイテムがあるが、これは女性用なので、65Lにはなるが、男性用のバルトロ65はどうかと勧められました。
背面のサイズを測って貰い、Sサイズのバルトロ65を背負わせて貰った所、やや窮屈というかピッタリというか、実にフィットしました。
ウエストベルトを締め、ショルダーストラップを引くと、背中と腰に吸い付くような装着感でした。
約4万円と、非常に高額でしたが、やっぱりあの時のザックを買っておけばと後悔したくなかったので、清水の舞台から飛び降りる気持ちでこれを購入しました。
バルトロ65にパッキングし実際に使用して見ましたが、20kgを超える重量のザックを背負って数時間歩いても、加重が腰にかかる様になっている為に疲れにくく、背負い心地は最高でした。
グレゴリーのサイトでは、「皆から妬まれるほどのデザインと、さらなる快適性を約束します」と紹介されていますが、この
スーパーサイヤ人カラーのカッコ良さと、背負った時の快適性は、まさにその通りだったと言えるでしょう。
さて、バルトロ65の作りを見ていきます。
私の使用しているカラーは、エレクトリックイエローで、その他のカラーラインナップとしては、アイアングレーとプルシアンブルーがあります。
バルトロには、65Lと75Lの2種類のサイズがあり、用途によって選ぶといいでしょう。ソロキャンプや3シーズンのテント泊登山の程度であれば65L、冬山登山などには75Lのサイズがいいのではないでしょうか。
雨蓋にグレゴリーのロゴ、フロントサイドにバルトロ65のロゴが光っています。
バルトロという名前の由来ですが、カラコルムのバルトロ氷河ではないかと思います。
外面には、フロントと両サイドにポケットが付いています。
この両サイドのポケットが、トリコニ60に無かったものです。それ以外の作りは、トリコニ60と同じだと言っていいでしょう。
すぐに取り出したい装備をフロントやサイドポケットに入れておけば、装備へのアクセス性が高まりますし、小物類は、ここに入れておいた方が整理が楽です。
ザック下部には、外付けする装備を固定する為のコードが付いています。
私は主にスリーピングマットを外付けする為に使っています。
私の使用しているスリーピングマットは、サーマレストのリッジレストソーライトなので、丸めた時の口径が太く、バルトロ65を購入したそのままの状態では、外付けする事が出来ませんでした。
外付け装備を固定する為のコードが、下部のガイドに通ったままだと太いマットをコードの内側に通す事が出来ないので、ガイドに固定されているコードを外側へ外す必要があります。やや力を込めないとガイドからコードが抜けてくれませんが、外れてしまえばリッジレストの様な太いマットでも外付け出来るようになります。
コードがどうのと、文字で書くと何の事だか解らないと思いますが、リッジレストが外付け出来なくて、ネットで情報を探し回った経験があり、それでもどうすればいいのか見つからなかったので、意味不明でもここに書いておきます。
背負い心地の機能を担保しているのは、この背面のシステムにあります。
LifeSpanEVAフォームを採用した3D形状化されたハーネスとウエストベルトで、背中を立体的に捉えてくれるようになっています。
そして、Response AFSサスペンションシステムという、ショルダーの左右、のウエストベルトの上下の角度が可動する自動調整によって、動いている時の窮屈さを感じにくくなっています。
腰周りでしっかり支えられている為、肩への加重は殆ど感じません。
グレゴリーの技術の真骨頂と言えるでしょう。
言うまでもなく、非常に背負い心地が良いです。
ウエストベルトには、小さなポケットが付いており、小さなデジタルカメラや、飴等を入れておくには丁度いいサイズです。
そして、ウエストベルトを調整し終わった余りのベルトは、畳んでこの小さなポケットの下に仕舞える様になっています。
そして、このザックの特徴として、ボトルホルダーを出したり仕舞ったり出来るようになっています。
ハイドレーションシステムを使わず、ナルゲンのボトル等で給水する場合は、これを引き出してホルダーを使うと良いでしょう。ホルダーは、ドローコードでボトルを固定出来るようになっているので、歩いていて落ちる心配もありません。
使わない場合は、本体の隙間に仕舞うとマジックテープで固定され、外にはみ出たりせず、すっきりと使用出来ます。
登山をする人であれば、行動食をここに入れておくのもいいのではないでしょうか。
雨蓋は、外せるようになっています。
外して、雨蓋内部からベルトを引き出すと、ウエストポーチとして使用する事が出来ます。
ただ、外したり、内側からベルトを引き出したり、使い終わったらそれを仕舞ったりするのが非常に面倒なので、使用するシーンはあまり無いかもしれません。
そして、雨蓋の内側には、セキュリティポケットがあり、車の鍵等の貴重品は、ここに入れておくと安心でしょう。
両サイドには、トレッキングポールやピッケルを外付けする際に固定する為の輪が付いています。
メインの気室の開口部の開閉が、片手で行えます。
ドローコードを引っ張ると口が開き、透明なチューブの持ち手を引くと口が閉まるようになっています。
こうした細かいアイデアも、なかなか憎い作りとなっています。
内部には、ハイドレーションのボトルを収めるポケットが付いており、更にそのハイドレーションのチューブをサイドポケットから外に出せる様に設計されています。
つまり、バルトロ65は、ハイドレーションシステムにも対応しているし、外部のボトルホルダーでの給水の両方に対応しているという事になります。
内部は2気室構造になっていますが、間仕切りが外せるようになっており、1気室としても使える様になっています。
2気室の方が整理しやすいので、2気室のまま使う方がおすすめです。
2気室の下部に直接アクセス出来る口がついているので、大きめですぐ取り出したい様な装備は、ここに入れておくといいのではないでしょうか。私はここに、レインウェアとテントを収納しています。
MAXで荷物を詰め込むと、この様になります。
雨蓋のコードに余裕があるので、雨蓋との間に服を挟んだりする余裕もまだまだあります。
65Lですので、春夏秋の装備であれば、食料を考慮したとしても、このザックがパンパンになる事はない筈です。
私は、初春にこのザック内に冬用の装備を詰め込んでソロキャンプをした事がありますが、真冬はまだ経験していません。しかし、真冬でも、装備を工夫すれば、何とか容量が足りるのではないかと思われます。
冬の為に65Lではなく、75Lのバルトロを購入しておけば良かったのではないかと振り返る事もありますが、真冬の為の75Lのザックを冬以外に使うというのは余りにも冗長なので、今では65Lで正解だったと考えています。
登山道具をソロキャンパーがレビューするには、難があったかも知れませんが、バルトロ65の機能自体については何とかまとめる事が出来たのではないかと思います。
グレゴリーは値段が高いのと、機能もやや過剰になりがちな為、時に敬遠される事もあるようです。
しかし、私の様な
初心者や体力のない者には最適ではないかと思うのです。
そして、こんな立派な道具をソロキャンプのような生ぬるい遊びに転用するのも考え物ですが、実際使ってみて大変満足しているので、これでいいのです。
バルトロ65、テント泊の登山用にも、ザック一つのソロキャンプにも
オススメです。
しかし、値段がどうしても高いので、ソロキャンプの人は、グレゴリーに対するこだわりがあったり、自由に出来るお金があれば選択の一つに入れる程度でいいと思います・・・。