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2015年01月27日

アイゼン・ピッケル講習会まとめ

1月24日、アイゼンとピッケルの講習会に参加してきた。先日の不忘山の山頂直下でアイゼンとピッケルを使った際、その不慣れに危うさを感じた為、これに参加する事にした。講習会といっても、参加者は私だけだったのでマンツーマンだ。
実技講習会ではあるが、本当の岩や氷の場所で練習したのではなく、スキー場のゲレンデを用いてこれを行なった。
まだ記憶が残っている内に、文字に起こしておく事にする。完全に自分用なので、他の人が読んだら意味不明と思うし、講師のガイドが仰った事を私なりに解釈して文字にしているので、誤認もあり参考にならないと思う。
アイゼン・ピッケル講習会まとめ



切り替えタイミング
岩、氷、斜度の厳しい場所、締まった雪になったらアイゼンに切り替える。つぼ足やスノーシューで進むには問題を感じるタイミングで切り替えるのではなく、厳しいと感じる前に切り替えるようにする。
ピッケルも、岩、氷、斜度の厳しい場所が切り替えタイミングになる。ただ、歩いている場所の斜度が緩くとも脇が切り立った尾根だったりする場合は、滑落停止で使用する可能性もあるので早めに切り替える。
アイゼンもピッケルも、進む先がどうなっているかという事の他に、今歩いている場所だけでなく、周辺の環境がどうであるか、という観点も大事になる。



アイゼン・つぼ足歩行技術
フラットフッティング
つぼ足だろうが、アイゼン装着だろうが、夏山だろうが、登りだろうが下りだろうが、山における全ての歩行の基本技術。
地面または雪面に足を乗せる際は靴底全体の面で捉え、歩を進める為に足を離す際もかかとからつま先にかけて離すのではなく、靴底全体の面で離す。
普段の平地での歩行では後ろ足で蹴りながら進むが、フラットフッティングは前足に体重移動が完了してから後ろ足を離すイメージとなる。山の歩行は体重移動が基本だ。そして、傾斜がキツくなるにつれ、足を開きながらフラットフッティングする。
靴底全体の面で離すのは感覚的に非常に難しい。どうしても足首が動いてしまうので、スキーブーツのように足首が完全に固定されている状態を意識すると良い。必然的に足の甲を前方に引き付けて歩く事になるので、慣れない内は前脛骨筋(膝下の前方の筋肉)が緊張した状態になり、足が疲れる。
これを習得する事でスリップを低減出来るので、冬の必須技術と言って良い。無意識でも出来るように、繰り返し意識して歩くようにする。
夏山のザレ場で、後ろに小石を飛ばしながら歩く様な人は、これを習得出来ていない。夏山でもフラットフッティングを意識しながら歩くと良い。

キックステップ(フロントポイント)
雪面につま先を蹴り込んで歩くこと。つぼ足の時はキックステップといい、アイゼンの時はフロントポイントという。
傾斜がきつくなったり、雪の状態によっては、フラットフッティングでは滑って登りにくくなる。その際にこの歩行技術を使用する。
膝下の足を前後にブラブラさせ、靴の重みを利用して雪面に蹴り込む事でステップを切る。その際、注意したいのは、何度も蹴りこまず、一発で決める事だ。何度も蹴りこむという事は、最初に蹴りこんだステップを崩すという事だからだ。
また、先行者がキックでステップを切っていた場合、そのステップに対して蹴りこむ必要はなく、そのステップを崩さぬようにフラットフッティングするようにする。
雪の状態にもよるが、キックした際、足全体がステップの上に乗るように強く蹴りこむ必要はなく、足の先がステップの上に乗る程度で良い。アイゼンを履いている状態であれば、前の4本歯が雪面を捉える程度と考えれば良い。手を付くような傾斜の場合、ピッケルをダガーポジションで持ち、フロントポイントを活用して登っていく事になる。

フラットとキックの組み合わせ
キックステップばかりで進むと体力の消耗が大きい。体力を温存しつつ、足元の安全を確保出来るのが、フラットフッティングとキックステップの組み合わせだ。
片足をフラットフッティング、もう片足をキックステップにするだけだ。どちらの足をフラットフッティングにするかは状況に応じて使い分ける。これは、よく使う歩き方だという事だった。

スリーオクロック(ナインオクロック)
冬山の歩行の基本技術の一つ。斜め方向に登下降したり、トラバースする時、つまり横向きに進む時に使用する。
登り側の足を進行方向に向け、下り斜面側の足を3時方向にする。右足が進行方向の場合はナインのクロック、左足が進行方向の場合はスリーオクロックと呼ぶ。実際に90度の開きで歩くと少し歩きにくいので、2時くらいの開きで構わない。
傾斜が厳しくなるほど、直登や直下降ではなく斜めに進んで行く事になるので、このスリーオクロックを多用する事になる。

方向転換
足元で何度も足踏みして方向転換をしたりしてはならない。足元が氷状だった場合、それを崩してしまうことになる。
ピッケルを刺して確保し、体をひねって逆方向へフラットフッティングで足を置く。その後、もう片方の足を先ほどの足と同じ方向へ置く。
足を逆方向へ向けるのが難しいので注意したい。更に、慣れていないと方向転換の第一歩目の足は、足首が曲がり気味になってしまう事が多い。柔軟な股関節と足首が必要になる。

足のクロス
緩めの傾斜のトラバースであれば、スリーオクロックでいいが、斜面に手を付くような傾斜の場合は、フロントポインティングでトラバースする事になる。
その際、斜度が厳しいと、足をどうしてもクロスしなければならないシーンもある。左足を右側へクロスする場合は、左かかとから右足前方にクロスし、壁にキックしてフロントポイントにする。一方、右足を左足へクロスする場合は、右つま先から左足前方にクロスし、壁にキックしフロントポイントにする。
斜度が増すほど、足を通すスペースが狭くなるので、アイゼンの引っ掛けには十分注意する必要がある。

ラッセル
深雪はスノーシューもしくはワカン、岩や氷や締まった雪はアイゼンという住み分けはあるものの、何度も履きかえを繰り返す訳にはいかず、どうしてもアイゼンを履いた状態でラッセルするシーンは出てくる。
ラッセルの際に気をつけたいのは、雪を踏む時に体重が後方ではなく、真下にかかるようにする事だ。前に進もうとする余り、後ろに蹴ってしまう人も多いそうだ。雪を踏んだら背筋を伸ばし、真上から踏み込むようにするとよい。
また、腰を超える様なラッセルの場合、ピッケルを横に持ち、そのピッケルを支点にすると深く沈みこみ過ぎず、ラッセルしやすいという。

雪団子落とし
雪の質にもよるが、つぼ足やアイゼンに限らず、歩いていると靴の裏で雪が団子になって滑りやすくなる。そうなる前に、こまめにピッケルで靴の側面を叩き、雪団子を落とす様にする。こまめに行う事が、安全確保に繋がる事であると心得る。



ピッケル
役割
クライミングと縦走では役割自体が違うし、使われるピッケルも異なる。クライミングでは両手に持って氷壁を登る事を想定した作りになっているし丈夫に出来ているが、縦走用は杖の様に使われる事が多い。
雪面に突き刺して確保点にしたり、スリップした時の停止に使ったり、強風時の耐風に使ったりする。
ピッケルは東北の山での出番は少ないが、ここぞという時に使用出来るようなスキルは持っておいた方が良いと言う。
(ピッケルは杖ではない、ピッケルの長さは長すぎず、腕の長さが良いという意見もあるので、一概には何とも言えない。私は腕の長さ程度のものを選んでいる。)

リーシュについて
腕に付けるものではなく、肩掛けタイプのリーシュを選ぶ。右利きの場合はリーシュを右の肩から、左利きの場合は左の肩から掛ける。

ノーマルポジション
ピッケルのヘッドの部分を持っている状態のこと。ピッケルを扱う際、この持ち方をしている時間が最も長い、基本的な持ち方。
登りの場合はピックを前にし、下りの場合はピックを後ろにする。その理由は、スリップした場合に、雪面にピックを刺せる様にするためだ。(ピックの前後ろをどうするかの指導は人によりけりなので、自分の経験から適切だと思う方を採用した方が良さそうだ。)
ピッケルを持って歩く時、ピッケルを持った方の手はブラブラさせず、石突(スパイクやシュピッツェとも)を雪面に向けておかなければならない。いつスリップするか解らないので、いつでもピッケルで停止出来るように準備しておく必要があるからだ。

ダガーポジション
ピッケルのヘッドのブレードを握る様にする持ち方。手を付くほどの傾斜の場合、この持ち方をする事がある。
急登では、ヘッドを持ってピックを雪面に押し刺しながら登ると安定する。柔らかい雪の場合、ピックを刺しても固定力を得られないので、その場合はノーマルポジションで石突を雪面に刺す。
滑落停止に移りにくい握り方なので、使うシーンは限られている。

クロスボディーポジション
ノーマルポジションでヘッドを握り、もう片方の手でシャフトを握った状態のこと。
滑落停止や耐風姿勢に直ちに移れるポジション。スリップの確率が非常に高い場所の場合、ノーマルポジションではなく、あらかじめクロスボディーポジションで握りながら歩く事によって、素早く初期制動を行う事もある。

滑落停止(初期制動)後ろ向き
お尻の方へスリップした場合。
スリップしたと気付いた瞬間、ピッケルの石突を雪面に突き立てる。石突が突き立たなかったり、それも滑って刺さらなかった場合、斜面に向かってノーマルポジションで握っているピックを雪面に押し付ける。
これが間に合わずに体が滑り出してしまった場合、ピッケルのヘッドとシャフトを持ち(クロスボディー)、体を反転させて、ピックを雪面に全体重をかけるつもりで押し付ける。
スリップした時や滑り出したりした時、アイゼンを履いている場合、アイゼンが引っかかってしまうと足が折れたりする事もあるので、足は上げるようにする。
滑落が停まった場合、うつぶせ状態から雪面に対してキックして徐々に立ち上がる。
滑落が始まってスピードが出始める前に止める必要があるので、素早く行なう事が重要。素早く行えるようにするには、何度も繰り返し訓練する必要がある。

滑落停止(初期制動)前向き
進行方向に転んだ場合。登りの場合は、アイゼンの歯が効いている事が多いので、大きな問題にはなりにくいが、下りの場合は非常に危険な転び方となる。
転びそうになった瞬間、石突を雪面に突き立てたいが、体勢的に非常に難しい。
前のめりになった瞬間、ピッケルの石突を転んだ前方に向けて伸ばす。体面が着地したと同時に、ピックを雪面に押し付け、もう片方の手でシャフトを握りながら停止させる。ピックが雪面に突き立った後は、足の向きが斜面の下へと滑っていくので、引き続きピックへ体重をかける事をやめないこと。

耐風姿勢
強風、烈風をやりすごす為の姿勢のこと。
足を開き、ピッケルの石突を雪面に突く。足とピッケルが三角形になるようにする。
この時、ピッケルに体重をかけるようにすること。風は、上半身を地面から引き剥がそうとするので、上半身の体重全てをピッケルに預ける気持ちでよい。
強風程度の場合、耐風姿勢の際のピッケルを握っていない方の手は、ピッケルのヘッドを握っている手の上に乗せる程度でいい。しかし、体が飛ばされる烈風で耐風姿勢をとる場合、ピッケルのヘッドを握っていない方の手は、石突と地面の接着点付近を握り、その点に体重がかかるように強く押し付ける必要がある。この様な烈風が吹く場所(例えば富士山)の場合、雪面は硬く凍っており、アイゼンの歯も満足に噛まず、ピッケルの石突も強く刺さってはくれないので、地面と石突の接地の一点に思い切り体重をかけて外れないようにする必要があるからだ。



アイゼン・ピッケル講習会まとめ




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この記事へのコメント
こんばんは、何回も読み返してイメージしながら
「フラットフッティング」を街歩きのついで練習してみたのですが、
ひらめ筋のさらに奥が痛むという変な筋肉痛になりました。
うーん。
基本中の基本なんだけど実は習得が難しいものなんだな・・って
今更ですが実感しています。
Posted by らばらば at 2015年01月29日 23:48
らばさん。こんにちはー。

フラットフッティングは、意識しながら繰り返し行なわないと身につかないそうです。
基礎的な技術の方が奥が深くて難しいのは、何事も同じなのですね。
私も、平地を歩く時にやってみたりするのですが、ロボット的な動きになってしまうので、少し恥ずかしいです。
Posted by saltpinesaltpine at 2015年02月03日 12:35
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