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2014年09月22日

山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

土曜日を外して、日曜日と月曜日を休みに出来たので、とことん山で温泉三昧のソロキャンプをしようと思っていたのだが、日曜の朝起きた瞬間から、いつものメンドクサイ病の発作が起き、キャンプに行くのを止めてしまった。
思い返すと本当に馬鹿なのではないかと思うのだが、メンドクサイ病にかかると、大真面目に面倒臭くて出掛けたくなくなるのである。私は、一度行動に起こしてさえしまえば行動力も決断力もある方だと自負しているが、この病にだけは勝てないのだ。何なのだ、もう!
しかし折角の平日休みが勿体無いので、休日では人の多くて出来れば行きたくない蔵王を歩く事にした。

この時持っていった物
服装
種別
内容
服装 シェルジャケット、Tシャツ、パンツ、トレッキングシューズ

ザック内(グレゴリー Z35)
種別
内容
フリース
クッカー類 スノーピーク トレック900、イワタニプリムス P-153、250OD缶、シエラカップ、スポーク
食料 握り飯、カップヌードルミニ、スープ、ティーバッグ、チョコバー、飴、水(プラティパスビッグジップSL 1000ml入)、予備の水(プラティパス2 1000ml入)
雨具 ザ・ノースフェイス レインテックス FLIGHT M
その他 ラジオ、ナイフ、ヘッドライト、熊鈴、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、コンパクトデジカメ、トレッキングポール

冬に向けて、モンベルのハードシェルを購入した。当然、色は青である。モンベルと言えば青なのだ。生きて帰りたければ、モンベルの青なのである。
通常、ハードシェルは秋に着たりしないのだが、今回、非常に風が強かった為、防風のテストを兼ねて着てみる事にした。下はTシャツにして、寒さに慣れる練習も続ける事とした。


蔵王連峰。
蔵王という名前の由来は、蔵王権現だ。蔵王権現は修験道独自の神で、蔵王は蔵王権現を祀った山なのだ。以前歩いた山形の月山と同じく、この蔵王も山岳信仰の場だったのだ。
お釜や、冬の樹氷が有名だ。特にお釜は、蔵王エコーラインを車で登り、更に有料の蔵王ハイラインの終着点の駐車場から数分でお釜を見られるという手軽さから、観光地としても賑わっている。お釜は、正に蔵王の象徴と言っていいだろう。
蔵王は、宮城県と山形県に跨っており、山形蔵王、宮城蔵王と呼び分けされている。それだけでなく、南蔵王、といった様に方角名を付けて呼ばれる事もある。それだけ宮城と山形の人にとって身近で、そして大切な山だったのだ。

蔵王は、宮城県最高峰である。主峰熊野岳は、山形県なので、宮城県側の最高峰は屏風岳である。今回は行かないが、いずれは行って見よう。
名前も格好良い。ざおう、である。何とも男らしい響きだ。
そして蔵王は、宮城県民にとって特別な山だ。
天気がいい日は、仙台平野から蔵王連峰を望む事が出来る。冬や春は、雪化粧をした白い山並みに変化し、季節によって楽しませてくれる。
宮城県民ならば、一度は登った事がある山ではないだろうか。私も、小学生と中学生の時の野外活動では、蔵王に登った。当時は、何が面白くて山に登らねばならないのかと思ったが、今こうして山を歩くのに夢中になっているのだから不思議なものだ。

前述の通り、蔵王ハイラインの駐車場から、お釜は数分だ。これではつまらないし、トレーニングにもならない。
今回は、大黒天駐車場近くの大黒天登山口から入り、刈田岳、熊野岳(最高峰)、地蔵山を縦走し、ピストンで帰るというルートにした。ヤマレコを見ると、このルートは行き3時間、帰り2時間の、計5時間程度のルートのようだ。

大黒天登山口には、仙台市から1時間半程度と非常に近い。本当に身近な山だ。
前日、馬鹿な私は、キャンプに行かなかった後悔で深酒してしまった為、目が覚めたのは7時だった。8時半に出発し、登山口に到着したのは10時頃だっただろうか。大黒天駐車場がさっぱり解らず、戻ったり進んだり、道に迷いながらだった。
天気は良い。今日ばかりは霧男の汚名返上だ。しかし風が強い。常時、風速5m以上の風が吹いている。非常に冷たい風なので、耳の奥がキーンとするし、耳朶が冷たい。そろそろニット帽がいいのだろうか。
さあ、山歩き開始だ。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

足元は悪くない。ビチョビチョしていたり、湿ったりしていないので、歩きやすい。
ただ、所々にある木道や石の階段が辛い。これを歩くと妙に疲れるのだ。恐らくは、段差が大きいので体を持ち上げる高さが大きくなり、疲れるのだと思う。木道は、横向きに付いている滑り止めが邪魔で体重移動がスムーズに行えない為に疲れるのではないかと思う。
それでも歩いて20分も経つと、体が有酸素運動モードに入り、キツさが失せる。こうなってくると、気分にも肉体的にも余裕が出てくる。山を歩いていてキツさを感じる人は、この有酸素運動モードに入っていないのだと思う。ランナーズハイと一緒で、ある一定を超えると非常に楽になるのだ。
登山は有酸素運動だと言う。ジョギングで1時間汗を流すのと、4時間山歩きするのを比較すると、歩いているだけの山登りの方が継続してかなりの量のカロリーを消費されているそうだ。なるほど、山ですれ違う人に太っていない人が多いのは、こういう事なのだ。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

蔵王連峰の象徴、お釜が見えてきた。
遠くに見えるだけだが、やはり存在感がある。遠くからでも、お釜の水面の色の美しさが見て取れる。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

登山口から45分程度で刈田岳山頂だ。疲労感は全く無い。山歩きを始めて1ヶ月経たないのに、私も成長したに違いない。
山頂には刈田嶺神社がある。
荘厳さが無いとは言わない。しかし、月山で感じた厳粛さは感じない。ここは、蔵王ハイラインを使えば、誰でも直ぐに来れれる場所だ。きっと、その雰囲気がそう感じさせるのだ。
それにしても、ここは観光客だらけで、山登りの格好をしていると浮く。何だアイツは、といった表情で見られるのだ。
お釜を背景に写真を撮っている観光客に混じって、お釜の美しさを愛でたい所だが、あの雰囲気に入って行けそうにない。それにしても、平日なのに、何でこんなに居るのだ。
三角点が見つからない。山頂に三角点が無い事もあるのだろうか。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

一刻も早く観光客の群れから遠ざかりたい。
次の目的地の熊野岳を目指そう。熊野岳は蔵王連峰の主峰だ。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

熊野岳方面に向かうと、観光客も減ってくる。
見えた!お釜が隠れる事なく、その全体像を見せてくれた。
お釜は五色沼とも呼ばれる。
吾妻連峰の一切経山から見えた、五色沼も美しかったが、このお釜も美しい。
あの五色沼は魔女の瞳と言われる様に、その美しさは実に女性的だった。美しい女性というのは、己の美しさを良く解っているものだ。あの五色沼も己の美しさを知っている美しさだった。私は美しいでしょう、とは言わないが、己の美しさを誇っているようだった。
このお釜の美しさは男らしさの美しさだ。掴みかかって来る様な力強さだ。深緑色の水面と、その周囲の噴火口跡。その美しさには荒々しさがある。
同じ爆裂火口の火口湖なのに、これまでの違う美しさを見せてくれる自然は本当に素晴らしい。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

お釜の一級ポイントを超えると、少しずつ登りに入っていく。それでも厳しい坂ではない。ゆっくりと進めば息は切れる事はない。
奥に避難小屋が見える。蔵王は割りと短い間隔で避難小屋が設置されている。今のシーズン、小屋の利用客はいないだろう。冬の為の小屋なのだ。帰りに覗いてみよう。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

あっけなく、主峰熊野岳の山頂付近に到着した。ここには蔵王山神社がある。
刈田嶺神社には無かった厳粛さを感じる。月山神社に近しい空気を感じる。蔵王も霊峰である事を感じさせてくれた。サングラスと帽子を取り、参拝する。この場所の持つ野太い力を感じた。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

さて、主峰制覇だ。標高1840mだ。登山口から標高差400m登った事になる。ウーン。
三角点を探してタッチする。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

これで終わりではない。
ここから更に縦走する。地蔵山だ。距離的には大した事はない。
案内にも縦走と書いてある。縦走か。ヘッポコのクセに山登りを少し解ってきた気分になってみるが、実態は初心者のままだ。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

蔵王山神社の直ぐ脇から、案内標識に従って下る。
大きい岩がゴロゴロしている。これは本当に一般ルートなのだろうか。かなり急だし、人が沢山歩いた跡が全く無い。
写真では解らないと思うが、熊野岳から結構な落差での下りになっている。
標識には地蔵山とは書いていなかった。本当にこっちなのか不安になる。
たった一人だけすれ違ったので、挨拶をして聞いてみる。ここを進んだ先が地蔵山ですか、と聞くと、ここを進んで峰を二つ越えた先がピークだという。それにしても、ここを登るなんて、凄い人だ。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

9月下旬、紅葉が進んできた。ここは森林限界なので、極端な色の変化はないが、それでも色の変化を楽しめる。
山歩きの楽しみの一つは、景色の変化だと思う。
自分が先程まで歩いた場所が遠く小さく見えたり、全体像の解らなかった山の様子が登るにつれてつぶさに見て取れるようになる。こうした変化が登っていて、楽しさのスパイスとなって効いて来る。
季節の移り変わりによる美しさもそれなのだろう。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

地蔵山山頂に到着した。歩き始めて、ここまで2時間半くらいだろうか。
休憩を取らないのが良いのか悪いのかは別として、休憩せずにここまで来れた。中継地点の刈田岳が観光客だらけで、腰も下ろせなかったからだろうか。
ここも風が強い。
気温は10度以下で、風による体感温度は5度を切っている筈だ。Tシャツの上に保温素材皆無のハードシェルなので、はっきり言って冷える。しかし、運動の熱によって辛さはない。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

目を西に向けると山形だ。宮城から歩いて、山の反対側が山形なのだ。
既にここも山形県だ。山頂付近は曇りで上空は視界が悪いが、平野に向かっては視界良好だ。山形側の町の様子が綺麗に見える。
地蔵山の直ぐ下のロープウェイを使えば、山形の蔵王スキー場だ。ここは、蔵王の樹氷の観光の拠点でもある。冬の蔵王か。私が挑戦出来る様になるのは、どれくらい先なのだろうか。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

さぁ、戻ろう。
山形側から、熊野岳側に戻るという事は、もう一度熊野岳を登るという事だ。
一人、黙々と戻る。
途中近道とあったが、さっき降りてきたルートが近道だったようだ。登りで行くならば、かなりの急登だし、岩だらけで相当キツい筈だ。近道という言葉の魅力で進むと苦労するという罠ではないだろうか。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

熊野岳の尾根筋に辿りついた。
先程の避難小屋だ。本当に避難の為の小屋といった様子だ。刈田岳山頂の手前にも同じ小屋があったが、存在理由は冬の為なのだろう。
少し中を見てみよう。当然ながら薄暗い。
黒電話がある。断線している。本当にここに電話が通じているのだろうか。何の為にあるのだろう。電気だって通じていない。
もし、冬の夜、この山小屋に辿り着いて、深夜の日付が変わる頃、突然この黒電話が鳴ったらどうだろう。
もし、冬の夜、この山小屋に居て、夜半に眠りかけた頃に人が小屋に入ってきたらどうだろう。
暗く湿った想像をせずには居られない。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922

下りは楽だが、足には負担がかかる。
ゆっくりを心がけて下る。
平野で見ない高山植物には興味が出てきた。名も知らない植物の花にふと目を奪われる。
頑張れよ、と声を掛けたくなるも、励まされているのは自分だと、ふと気づいた。
山歩き 蔵王連峰 熊野岳 20140922




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この記事へのコメント
おはようございます。

すっかり山の魅力にとりつかれていますね。

メンドクサイ病、、、わかります。
もぉ●十年付き合っているので持病です。

平日でも山は人が多いですか。
シニア軍団とか?

お釜、迫力ありますね!
吸い込まれそうな・・・。

こう紅葉が始まっているようですね。

人工的な建物などがほぼない単なる空と山と木々だけの風景なのに、どんなアートよりも感動しますよねぇ~。
あんまり行けてないので、目の保養させてもらってます!
Posted by r_islandr_island at 2014年09月23日 08:26
冬山への準備が静かにすすめられていますね。
心が凛としてくるようです。
そして、自分で思い実行されていく様に憧れます。
慎重すぎて行動に移せない自分が少し情けないです^^;
少しずつ準備をする。。。大切なことだと改めて感じました。

山形蔵王のスキー場は毎年行っていた時期がありました。
樹氷も、まつげを凍らせながら眺めたことを覚えています。
もっと山の壮大さを意識出来ていたら良かった。
saltpineさんの記事を読んでそう思いました。
Posted by otooto at 2014年09月23日 10:48
r_islandさん。こんにちはー。

山いいですね。
8月下旬に始めて、5座やっつけたので、結構頑張ったんじゃないかなと思います。
冬に向けて、安全の為に講習会に参加する事にしました。
スノーシュー、早くやってみたいです。

土日と秋分の日を挟んだ日なので、飛び石連休の中日だったようです。
お釜周辺は、シニアやら、外国人やら、憎たらしいカップルやらで、35Lザックを背負った私に突き刺さる視線が痛々しかったです。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年09月23日 16:42
otoさん。こんにちは~。

何かを始めるという事は、お金が一気にかかるので、それが一番ネックです・・・。
順調に散財が進んでおります。困った。

一人で行っていると、自分の相手が自然だけになるので、その分感受性が高めになるのでしょうか?
山に一人で行くなと良く聞きますが、一人で歩いている人の方が、むしろ多く感じます。山は一人の方が充実するのを、みんな解っているのかも知れませんね。

私も樹氷見てみたいなぁ。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年09月23日 16:50
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