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2014年06月10日

ソロキャンプの夜は怖い

ソロキャンプの夜は怖い。
それも、本当に一人の時ほど怖い。周りがキャンプ場でない場合、より一層怖い。
私は、周囲に全く人の居ない環境で、一人でキャンプする事自体には慣れてしまったが、この怖さだけにはどうしても慣れない。
これは私だけの事かも知れないし、他の人もそうかも知れない。
こういう一面があっても、ソロキャンプが凄く楽しい事である事には変わらないという事と、一つの目的でもある、一番恐ろしい「生身の人間」から逃れられるのだという事を、先に申し添えておきたい。
ソロキャンプの夜は怖い

さて、少し考えてみたい。

何で怖いのか。

怖さを感じる瞬間というのは、テント内に居る時だ。
たった布1枚ないし2枚を隔てて外界から遮断される環境だ。夜であれば音以外の情報は一切テント内には伝わって来ない。
手を伸ばせばテントに手が当たる。テント内で立つ事すら出来ない。
その、ほんの僅かなテント内のスペースが、その時の自分のテリトリーになる。その外は、もう自分のテリトリーではなくなる。

寝袋に入ってしまえば、もう身動きが取れない。それでも寝る為にテントに入ったのだから、寝袋に入り、じっとする。
寝に入る前、目を閉じながら色々な事を考える。今日あった事、明日予定している事を考える。

ふと、怖い妄想が頭をよぎる。
このテントの外で起きているかも知れない、自分の知る事の出来ない怖い出来事。

燻っていた焚き火の熾きが風に飛ばされて、辺りが燃え上がらないか。
近くを流れる川の音が、ゴウゴウと次第に溢れ出していく様に聞こえる。
木や草が揺れる音が、野生生物が近づいてきた音に聞こえる。
野生動物の声が、人の声に聞こえる。
風でテントが押され、それが誰かが外で押している様に感じる。

その出来事で、自分の身に危険が及ぶかも知れない。
その怖い妄想が本当だったら、どう対処しよう、と頭の中でシミュレーションしてみる。その妄想は大抵、一人では対処出来ない事だ。
不思議と濁った思考が透き通っていく。
今は一人で居るから、誰の助けを借りる事は出来ない。
何でこんな所でこんな不安な思いをして、一人でこんな事をしているのかと、自分の行動を省みる。
この身動きが取れない状況では、自分の肉体は役に立たない。自分の精神だけが拠り所になる。
その怖い妄想が、否が応でも己の孤独を目の前に突き付けてくる。

知らぬ間に寝てしまっていても、ふと目を覚ます。さっきの怖い妄想の世界に再び入っていく。
それを朝まで繰り返す。

こうした怖さというのは、本来、動物が皆抱えている事ではないかと思う。
小動物がねぐらに入り、外の事が解らず、天敵に怯えながら眠りに就く。自分に起きるかもしれない危険に怖さを感じている。
人間もそれを、テントの中でやっているに過ぎないのではないか。
その怖さは原始的なもので、元来、本能的に備わったものなのではないかと考える。
ソロキャンプの夜は怖い


何が怖いのか。

自分の力の及ばないものに対して、怖さを感じるのではないだろうか。
ソロキャンプをしていて感じる怖さは3種類だと思う。

1つ目は、自然現象の怖さ。
強風だとか、雨だとか、雪の事などだ。人間は自然現象をどうにもする事が出来ない。発生した現象に対処したり、準備していた装備である程度予防出来ても、根本的に防ぐ事は出来ない。
だから、大雨で傍の川が増水したり、突風が吹いてテントが吹き飛ばされたりする妄想にとり付かれる。
しかし、自然の中でソロキャンプするという事は、自然に全てを委ねるしかないのだ。

2つ目は、野生動物の怖さ。
外を歩き回るのがタヌキ程度であれば怖くないが、それが熊だったら話は別だ。
焚き火の燃え上がる火がなくなり、ラジオを消し、身を守る熊避けはなくなる。熊は夜に行動はしないが、どうしても熊が近くに来る想像をしてしまう。夕食の残りは綺麗に片付けただろうか、という心配も湧いて来る。
枕元に置いた、このナイフで熊と戦うには心細い。

3つ目は、超自然現象の怖さ。
幽霊とかの事だ。怖さというか、恐さだろうか。
これはもう、どうしようもない。あるかも知れないし、無いかも知れない。
人間しか持たない、特有の薄暗く湿った恐怖心。例えば、こんな妄想をする。
夜、ふと音に気付いて目を覚ます。テントの周りをぐるぐる回る人の様な影が見え、引きずる様な足音が聞こえる。影が何週したか解らないが、突然影が消える。影が過ぎ去ったと思い、ベンチレーターから外を覗こうとする。すると、ベンチレーター越しに真っ赤に充血して見開いた目がこちらを覗いていた。
・・・もう、こういう想像をするだけで、小便が漏れそうだ。
私は、こういうのは居ない事にしている。そして、考えない事にしている。考えなくても、頭には浮かんでは来るけれど。
ソロキャンプの夜は怖い


こうした怖さに打ち勝つことは出来なくともいいと思う。
人間が生物である以上、避けられない。

では、どうしたら良いのか。
酒をかっ喰らって、泥酔して寝ればいい。気付いたらもう朝だ。
でも、時には自分の妄想と戦って見るのもいいと思う。




タグ :雑記

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この記事へのコメント
こんばんは。

完ソロはほんと怖いですよね。

私は管理されたキャンプ場以外でのソロはないのですが、誰でも入ってこれる所だと、浮浪者やヤンキーの類いはリアルに遭遇しそうです。

熊が出没するキャンプ場では、やはり物音は恐怖でした。

一番の恐怖体験は、夜中に連結したスクリーンタープから物音がして、テントから覗いてみると、ぼんやりとした白いものがゆらゆら…。

見てはいけないものを見てしまったかと思ったら、、、(*_*)

生ゴミを入れてぶら下げてあったスーパーの袋を連結の隙間から進入した野良猫があさっていたという落ち!

まぁ、夜中に野良猫が潜り込んできたことも気味悪いけど、心霊現象じゃなくてよかった(゜ロ゜;

ヤンキーや幽霊は別として、大自然に放り出された人間は、自然と獣の脅威にさらされるってことですね。

弱肉強食ピラミットの頂点に立っているという錯覚から目覚める機会ということでしょうか。
Posted by r_islandr_island at 2014年06月10日 19:26
ソロキャンプに踏み込めない最大の理由、唯一の理由はこれですよね。

でも不思議です 何かに襲われたとしても 何の助けにもならない様な女性でも 一緒にいるだけで こんな恐怖からは解放されます。
Posted by chiko_chan at 2014年06月11日 01:41
r_islandさん。こんにちは。

やっぱり生身の人間が一番怖いですよね・・・。変な人も居るし。
その野良猫のエピソードみたいな話、大好きです!
キャンプをやっていると、色々起きますよね。

>>弱肉強食ピラミットの頂点に立っているという錯覚から目覚める機会
この表現、さすがですね!まさにその通りです!
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月11日 10:18
chiko_chanさん。こんにちは。はじめましてー。

それでも、ソロキャンプをしている時の、精神が自由になるような開放感に勝るものはないので、怖かろうがやっちゃうんですよね~。

もう、何の助けもしなくていいので、横に女性が居て欲しいです(笑)
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月11日 10:24
お疲れ様です!
先日 雨の平日に 牛野ダム行って来ました。
到着が19時頃で 完ソロでした~!
確かに 一人では若干 不気味ですが
Saltpineさんの 川崎の山中での野営&
クマの皮剥ぎの木発見(怖) に比べたら
牛野ダムで完ソロなど 足元にも及びませぬよ♪
旗坂ソロも凄いです!
ちょっと知り合いに聞いた話では
北海道あたりでは 血だらけになって
クマと戦う超人がいるみたいですよ!?
Posted by tomokazu19761218tomokazu19761218 at 2014年06月11日 16:38
わかるわかると頷きながら読ませて頂きました。

私は完ソロの経験はありませんが、人が少ない時の夜とか
テントの中にいると外に対する恐怖の妄想が酷くて、いっそ
外で寝るか一晩中焚き火して起きてる方が精神的に楽なのでは
ないかと思ったりします。それはそれで問題ありますが・・・。

犬でも良いから横にいて欲しいです(笑)

早く明るくなれと悶々と一晩過ごしつつ朝を迎えると
夜の恐怖はふっとび、また来よう!になるのです。

なぜ怖い思いをして一人でキャンプに行くのだろうかと
考えるとやはり開放感を感じるためですかね。
Posted by おかおか at 2014年06月12日 01:03
夜、テントの外にいる時は自分が自然の中に溶け込んでいる様で気持ちが良いのに、テントの中に入ると自然との遮断、孤立のような感じあります。
視覚の情報が奪われるのは妄想が膨らんじゃいますよね。でも小窓のあるテントをお使いの方が、夜中に何かが覗いていたらどうしようって言ってたっけ。それも怖いですねw

だからこそ、朝の素晴らしさったら!太陽って偉大です。あたたかさにも感動します(o^^o)
Posted by otooto at 2014年06月12日 09:03
tomokazu19761218さん。こんにちは。
意図せずに熊のテリトリーに入っただけなので、好き好んで恐ろしい環境に行っている訳ではないですよ(笑)
それにしても、牛野ダム、週末はファミリーキャンパーだらけのようですが、平日なら完ソロになるんですね~。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月12日 20:23
おかさん。こんにちはー。
わかるわかる。
やっぱり、夜を抜けた時の朝の感覚ですよね。
そして、一人でないと得られない感覚。人に分け与えたいのだけど、自分だけのものにしておきたいような。

で、ちなみにこの記事、おかさんの「おばけが怖い」にインスピレーションを受けて書いた様なものなんですよ。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月12日 20:33
otoさん。こんにちは!
わかるわかる。
外での自然との一体感、テントの中に入ると、自然が敵になってしまったような疎外感。
私だけじゃなくて、ソロキャンプなさる方って、結構みなさん同じ感想持っているものなんですね。

テントのベンチレーター(空気穴)から、外の様子を見る事って結構あるのですが、覗く前はやっぱり変な妄想しますよ。あの穴だけが、外界と繋がっているのですが、結構勇気がいります。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月12日 20:40
一人キャンプしてみたい願望が膨らんでいる時に読んでしまいました。www

先週末、豪雨の中ダム湖の上流でキャンプしていたのですが、
深夜の雨音の変化や放流サイレンの音とかに寝ていても反応して自然に目が覚めてしまいました。
野営するってことは野生が目覚めることなのかなと思いました。

更なる覚醒を求めて一人キャンプ達成がんばってみます。
Posted by らばらば at 2014年06月16日 00:05
らばさん。こんにちはー。
こんな記事で一人キャンプへのチャレンジ、思い留まらないで下さいね(笑)

確かに、キャンプをしていると、感覚が鋭くなりますよね。
私も音の変化で、ふと目を覚ますことがあります。
仰る通り、野生が目覚めているのだと思います!
Posted by saltpinesaltpine at 2014年06月16日 20:16
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