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2014年09月29日

山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

前日に泉ヶ岳近辺でキャンプをした。
朝5時に起き、自宅に帰って朝食を食べ、蔵王に向かう事にしていた。
朝5時に起きてキャンプを撤収し、自宅に帰ったはいいものの、6時では何もないので、前日のご飯でおじやを作って食べてから蔵王へ向けて出発した。
この、おじや少しだけの朝食が一つの問題の元となった。
今回は、自分にとって非常に戒めになるポイントがいくつかあった。恥ずかしい事だが、己の為に隠さずに記したい。

この時持っていった物
服装
種別
内容
服装 Tシャツ、パンツ、トレッキングシューズ

ザック内(グレゴリー Z35)
種別
内容
フリース、シェルジャケット
クッカー類 スノーピーク トレック900、イワタニプリムス P-153、250OD缶、シエラカップ、スポーク
食料 握り飯(コンビニ)、カップヌードルミニ、スープ、ティーバッグ、チョコバー、飴、水(プラティパスビッグジップSL 1500ml入)、予備の水(プラティパス2 1000ml入)
雨具 ザ・ノースフェイス レインテックス FLIGHT M
その他 ラジオ、ナイフ、ヘッドライト、熊鈴、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、コンパクトデジカメ、トレッキングポール

今回は、コースタイム7時間半のロングコースなので、水は多めに持った。いつもはハイドレーションシステムに1000ml入れているが、いつも残っている。念の為と1500ml持って行く事とした。
昼食のカップラーメンに使ったりする予備の水とあわせると、計2500mlなので、かなり冗長な量だ。重さ2.5kgである。


先週に続いて蔵王連峰だ。
前回は、ヌルくてヌルくて仕方がなかった。歩いたのは5時間弱程度だったが、何とも物足りなかった。初心者のクセに、「もっと」と思ったのだ。
蔵王にも色々コースがあって、先週歩いたのは、熊野岳に向かうコースだった。他にも、先週と同じ蔵王エコーラインから、屏風岳に向かって縦走するコースがあり、これは蔵王の縦走コースでも最も人が多く、足元も整備されている。コースタイムは6時間程度だという。

私は、人が沢山居るのが嫌なので、刈田岳方面からの縦走ではなく、非常にマイナーなコースを選択する事にした。
白石スキー場から水引登山口に入り、ジャンボリーコースで大日向分岐点へ向かう。そこから水引入道へ登り、水引平というコル(山と山の間の低くなった箇所の事)へ下る。そこから連峰の稜線まで上り、そこから屏風岳、南屏風岳、不忘山を縦走して、白石スキー場へと下るコースだ。
このコースは白石スキー場周回コースといって、白石市の登山ガイドのページによると、コースタイム7時間、私は屏風岳にも行くので、7時間半のコースになる。これに昼食や休憩を短めに取ったとしても、8時間程度の行動時間になるようだ。
変に自信が付いてしまっているのか、このロングコースを選択した。

仙台市から白石スキー場までは1時間ちょっとという所だ。
前日キャンプをしていて撤収して帰ったのが6時、自宅で軽朝食を食べて出発したのが7時、白石スキー場に到着したのが8時10分頃だった。
ロングコースを歩くのに8時からというのは、今考えると、若干の引っ掛かりを感じる。仮に行動時間の想定通り8時間行動すると、下山完了時刻は16時になる。登山は15時までに行動を終了するのがセオリーだという。思い返すと、これも問題だった。
白石スキー場の駐車場の広い広い到着する。
ジャンボリーコース側の林道の駐車場には、3台の車が停まっていた。その一つでは、一人の男性が準備中のようだった。
車をその脇につけ、その男性にこんにちはと声をかけ、私も準備を開始した。
その男性に、ジャンボリーコースから登るのですかと問われたので、はいと回答し、今日は宜しくお願いします、と挨拶をした。人の良さそうな男性だ。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

その男性は先に行き、私も準備を終えて登山口のある林道に進んだ。
所々、あけびが実っていて、食べ頃のいい色になっているものもあった。宮城ではあけびの中の身の方を食べるが、山形では実の皮の方を肉詰めにして食べるという。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

20分程度歩くと、水引登山口に到着した。
登山口入り口では、先ほどの男性が居たので、この先を進めばいいのかを聞き、先に進ませて貰った。
登山口から登り始めてしばらくはなだらかな坂が続く。林間道なので、歩きにくさはない。黙々と歩く。後ろからは、男性が鳴らす熊鈴の音が近づいてくる。
それにしても、妙に息が切れる。息を切らさないように歩かねばならないのに、ハァハァと息が切れるのだ。いつもと違う体調の変化を感じ、休憩したくなった。
男性に追い抜いて貰おうと立ち止まると、男性が話しかけてきた。最近、熊が非常に活発なようなので、稜線に出るまで一緒に歩きませんか、という事だった。全く先行きの解らない状態で進んでいるので、言葉に甘えさせて貰った。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

知らない人と歩くのは、これが初めてだ。いつも一人で歩いているので、これはこれで新鮮だ。
男性は一定のスピードで足をゆっくりと動かしながら登っていく。トレッキングポールは使っていない。華奢なようでも、体幹がしっかりとしているのだろうか。
歩きながら男性と会話をする。何とこの男性は、高校の山岳部の顧問だという。こんなマイナーなコースで、凄い人と出合ってしまった。
このジャンボリーコースは高校の大会で良く使用されているコースで、もう30回以上も登っているという事だった。所々で、ここはこうなっていて、この先はこうだから気をつけて行きましょう、とアドバイスを下さる。
山岳部の大会というのはどういうものなのかさっぱり解らない。山を登って時間を競うのですか、と聞くとそうではなくて、先頭は先生が歩いて、歩き方の安定性やザックへのパッキングのバランス、山のマナーなどを隠れている審査員がチェックし、それで優劣を判断するそうだ。登山はスピードを競い合うものではないのは解りきった事だが、大会とはそういうものだったのか。
私は山歩きを始めて1ヶ月の初心者なので、色々と質問をした。この歩いているコースや、道具や、冬について教えて頂いた。特に、私は今、冬に向けて準備しているので、冬山についての質問をした。冬山はとても楽しい事、スノーシューは履いて選ばないと後悔する事、冬はGPSが必須である事など、詳しく聞けた。スノーシューは履いて選ぶべきなので、良かったらいくつか所持いるので履いてみますか、とまで言って下さった。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

登るにつれて紅葉が綺麗になってきた。紅葉は栗駒山が綺麗だと有名だが、蔵王も十分綺麗だ。
先生曰く、水引入道の辺りは蔵王連峰が一望出来るので、本当に綺麗で感動しますよ、との事だった。しかし、この頃になると私は常にハァハァ息切れをしていて、美しさを愛でる心が十分に持てなかった。
先生は、この先かなりの急登が続くので頑張りましょう、と仰った。疲労が溜まってきた私は、頭がくらくらした。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

お話の通り、かなりの急登が続いた。傾斜角度45度以上の坂も多くあったように思う。更に、ドロでグチョグチョしている場所もあり、手もドロだらけになりながら登った。
その一方、先生は一定のペースで登っていく。私より20歳近く上の年齢なのに、こうまで違うのか。私は既に半分バテている状態だった。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

先生は一定の間隔を登ると、私を待っていて下さる。待ち時間が長く、迷惑だったに違いない。
空が開けてきた。もう少しで水引だそうだ。
普段ならば、この空と紅葉に感動する所だが、それ所ではない。
手を見ると、パンパンにむくんでいる。安達太良山で水分補給が足りなかっただろう時の事を思い出す。今日は暑くて、汗がダラダラと出る。水分不足が原因だと思い、ハイドレーションの吸い口から水を飲みまくるが、一向に解消しなかった。
前情報が殆どなかったとは言え、何故こんなコースを選択したのかと後悔しつつあった。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

大日向と呼ばれる、コガ沢コースとジャンボリーコースの合流点に到達した。
ここで景色が一変した。目の前に屏風岳から不忘山までの蔵王連峰の峰峰が見え、それが紅葉で美しく色づいている。
先生が待って下さっており、ここから別々に行動する事にした。
地図を持ってきていますか、と聞かれ、持っていませんと答えた。こういう二万五千分の一の地図を買うと良いですよ、と仰った。先生が地図を広げ、この先がどうなっているかを説明して下さった。この先の水引入道の先のコルの水引平からの登りが非常に急なのと、南屏風岳を越えた先も激しい上り下りが続くので、頑張って下さい、との事だった。地図を見ると、確かに等高線の間隔が非常に狭くなっている箇所がいくつも見られた。地図すら持ってきていない自分が情けなかった。
この場所で中間地点くらいでしょうか、と聞くと、まだまだ中間まで来てすらいないという事だった。ここまで来た時点でかなりバテている私は、この先本当に進んでいけるのかと不安になった。
先生は最後に、もし冬をやるなら、本当にスノーシューを試着した方がいいので、学校まで電話して下さって構いませんからね、と優しい言葉をかけて登って行かれた。バテにバテ、地図も持ってこない、歩くペース配分のなっていない、登山の前提すらなっていない男は、恥ずかしくて先生に連絡なぞできっこない。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

この極度の疲労は何だろう。これまでの山歩きで経験した事がないものだ。泉ヶ岳でもバテかけたが、あの時のものとは全く違う。頭がくらくらして、動きたくなくなるのだ。
もしかすると、これはシャリバテ、つまりハンガーノックというものではないだろうか。体にエネルギー源が無くなり、ガス欠の状態の事だ。
私は昨日、キャンプ仲間と飲み明かし、アルコールの分解で体はエネルギーを使っただろう。そして自宅に戻っても、朝食は茶碗一杯のおじやだけだった。今日になってからエネルギーが十分にとれていないのだ。これが原因だとしか思えなかった。
栄養補給が必要なのだ。今、登山で行動食が重要な意味が、よくよく解った。
ザックから、チョコバーとウイダーインゼリーを取り出した。普段は甘い物が嫌いな私だが、この時食べたチョコバーの美味さは特別なものだった。美味いと感じるという事は、体がそれを欲しているからに違いなかった。やはり、エネルギー不足の状態だったのだ。チョコバー2本とウイダーインゼリーを1本飲み、進む事にした。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

水引入道へ向かい、登っていく。まだ疲労は感じているが、幾分かは良くなって来た。食べて直ぐ回復する訳ではないのだから、じっくり行こう。
登りながら振り返る。蔵王連峰全体が綺麗に色づいている。写真をしきりに撮っている人もいる。連峰の姿を全体的に見る事が出来るこの場所は、結構いい所なのではないだろうか。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

この辺りの紅葉もなかなかいいタイミングのようだ。本当に美しい。
景色を楽しむ余裕が出てきたという事は、少しずつ回復してきたのだろうか。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

水引入道に到着した。標高1656mだ。
白石スキー場が標高650mなので、ここまで3時間半かけて実に1000m登った事になる。1000mの標高差を稼ぐジャンボリーコース、結構厳しいルートなのではないだろうか。
このジャンボリーコースは、ネットで調べると下りでは良く使われているが、登りで使われている記事は殆ど無かった。つまりこのロングコースを選ぶに当たって、情報不足でもあったのだ。
本当にいい経験になった。人間は失敗からこそ大きく学ぶ生き物だと思う。失敗も、何故失敗したのかの分析があってこそ、教訓になる。ここまででもいくつか問題点を拾う事が出来た。
そうだ。トレッキングポールを使うのを忘れていた。ここ数回の山歩きでは、トレッキングポールを持っていって使わない事が続いていた。これを使えば多少楽になる筈だ。使ってみると、確かに楽になった。体が安定するからだ。
これは、DABADAというAmazonで3000円で購入したものだが、結構出来がいい。私は、今年の春に自分用の同一のトレッキングポールを購入していたが、父にと同じものを購入した所、これが大幅に作り変えがなされており、短く軽量にスマートになっていた。今回、この改良版の方を持って来ていた。軽くてなかなかの使い心地だ。いずれ比較のレビューをしてみよう。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1

水引平まで下ってきた。池塘が美しい。水面に青空が反射しており、その奥には蔵王の山並みが続いている。
そして、今日の山の核心部はこの先なのだ。
ここから屏風岳側の稜線に出る為の登りが一番厳しいらしい。約20分で標高差150mを一気に登っていく道なのだという。
エネルギー不足は回復しきっていない。この先はまだまだ長い。本当に頑張れるだろうか。
山歩き 蔵王連峰 屏風岳~不忘山 20140928 その1


つづく。




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この記事へのコメント
こんばんはー。
ハンガーノック知りませんでした!
今日、奥多摩で低山トレッキングしてきたのですが、
お腹がぐぅぐぅ鳴るばかりでどうにも力が入りませんでした。
早弁したら後半快調に歩けるようになったのです。。。
こうしたメカニズムはキチンと知っているべきでしたね。反省です。

昭文社の「山と高原地図」
カラーで見やすくて、破れにくいしお勧めです。
行きたいエリアの地図をどう歩こう・・・って
アレコレ考えるのがちょーーーー楽しいですよ。
Posted by らばらば at 2014年09月29日 18:48
らばさん。こんにちは。

やっぱり朝食はしっかり食べないと駄目ですね。
今回、肉体で学びました。
本当に反省しています。

懲りたので、GPSを購入する事に決めました。
英語版ですが、オークションでなら少し安く買えるようです。
地図をメインに、GPSは補助にと使おうと思います。
昭文社の「山と高原地図」、調べてみますね!
Posted by saltpinesaltpine at 2014年09月30日 09:01
おはようございます。

山は人の距離を縮めますよね。
みな気持ちよく挨拶をし、声をかけ、時には助け合い。

あまり群れるのは好きじゃないんですが、たまにだと新鮮で心地よく感じます。

GPS欲しいけど高いんですよね。
登山系スマホアプリでもあるみたいですけど、命を預けるには…。

雪山は景色がなくなる(白銀の世界)ので、道も分かりにくくて更に危険です。
私はオークションで安いビーコンを購入しました。
スタート地点を記憶させ、常にそこを基点に方向と距離が表示されるので、迷ってもスタート地点に戻れるというもの、、、のはずでしたが、安物のオモチャで精度が悪く、とても命を預けられるものではありませんでした(´д`|||)
GPSだと、安いものでも四万円~くらいでしょうか。以前に調べた時は、いいので八万円くらいだったような…。
とても手が出ませんでした( ノД`)…

あとは雲や地図の読み方を習得するとか。(私は出来ていませんが…)
Posted by r_islandr_island at 2014年10月01日 09:38
r_islandさん。こんにちは。

確かに、山だと気軽に声を掛けられそうな空気はありますよね。
挨拶も頑張ってしちゃいますし。まぁ、返って来ない事もありますが・・・。

GPSはオークションとかで買うと安いですよ。
日本語版にこだわると高いので、英語版にしました。
日本語版だと6万円もするGARMINのeTrex30を、28000円で購入出来ました。勿論新品です。(それでもいい値段しますが)
eTrex20という下位機種なら、18000円です。
冬は天候によって視界が遮られるので、長時間行動する場合、GPSは必須みたいですね。
Posted by saltpinesaltpine at 2014年10月01日 15:46
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